医療システム事業
よくあるご質問

医療システム事業でご不明な点がございましたら、以下のFAQよりご確認ください。こちらでは、その中の一部について掲載しておりますのでご参照ください。また、掲載内容以外にご不明な点、ご質問などございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

医療法改正において広告規制が緩和されましたが、手術の成功率など、患者が病院を選択するうえで必要となるデータの整備・開示できる余地があると思います。将来的にはこうしたデータまで開示されるようになるのでしょうか。

 医療に関する広告規制は順次自由化の方向に進むと考えられます。厚生労働省の方針は、「ポジティブリスト方式を前提としながら、客観的で検証可能な事項については、原則自由化」といってますから、虚偽広告、比較広告、誇大広告以外のいわゆる実態広告は、患者の医療機関選択のために必要だと思います。それは患者に選ばれる特質(診療機能、サービス力など)を備える努力を促すインセンティブと考えるべきではないでしょうか。
 医療機能評価については、高い評価を受けた部分を広告できれば、その病院の体質やサービスの質を利用者が知ることができるわけですが、受審・合格だけを広告しても、ほとんど意味をなさないといえます。
 また、現行医療法で認められている提供できる医療の質についての広告が、医師の略歴、予約診療の実施、共同利用できる医療機器名だけでは、医療サービスの質のレベルは利用者には理解できません。アメリカのように、再入院率、退院後6週間以内の死亡率、患者の満足度、ケースミックス指数など客観的な指標が広告できなければ、意味を持たないと考えます。
 しかし、日本人は自己表現があまり得意ではありませんから、広告規制を緩和しすぎると、誇張した広告、事実を歪めた広告をする可能性が高いと思われます。日本が欧米のように、「医療の標準化が進み、科学的根拠に基づく医療が行われるようになり、評価制度を習熟する時代」になれば、欧米並みの広告レベルになると考えられます。
 2007年3月末には、「医療広告ガイドライン」が厚生労働省より提示されており、広告可能な事項や禁止される広告などが、具体的な例をあげて示されていますので、参考にされるとよいでしょう。

禁止される広告

(1)広告が可能とされていない事項の広告
 法又は広告告示により広告可能とされた事項を除いては広告が禁じられている。
(例)専門外来、死亡率・術後生存率等、未承認医薬品による治療の内容、著名人も当院で治療を受けております
(2)広告内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
 広告に示された内容が虚偽である場合、患者等に著しく事実に相違する情報を与え、適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受けるおそれがある。
(例)絶対安全な手術です、厚生労働省の認可した○○専門医
(3)他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較広告)
 事実であったとしても、優秀性について、著しく誤認を与えるおそれがあるため禁止されるものである。
(例)日本一、No.1、最高
(4)誇大な広告(誇大広告)
 必ずしも虚偽ではないが、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認させる広告を意味するものであり、医療に関する広告として認められない。
(例)知事の許可を取得した病院です、医師数○名(○月○日現在)、顔面の○○術1ヶ所○○円
(5)客観的事実であることを証明することができない内容の広告。患者や医療従事者の主観によるものや客観的な事実であることを証明できない事項。
(例)患者の体験談の紹介、理想的な医療提供環境です、比較安全な手術です、伝聞や科学的根拠に乏しい情報の引用
(6)公序良俗に反する内容の広告
 わいせつ若しくは残虐な図面や映像又は差別を助長する表現等を使用した広告など、公序良俗に反する内容。
(7)その他
 ア 品位を損ねる内容の広告
 イ 他法令又は他法令に関する広告ガイドラインで禁止される内容の広告
(出典:厚生労働省「医療広告ガイドライン」2007年)
今後、生活習慣病に対する取り組みを、200床未満の病院やクリニックが行うとすれば、どのような取り組みが効果的でしょうか。

政府が生活習慣病対策に本格的に取り組んだのは1998年ごろからで、1年半後の2000年に「21世紀における国民健康作り運動(健康日本21)」を発足させました。しかし、実際には各種調査の結果を見る限りでは「健康日本21」はまだ成果が見られていません。例えば1997年と2003年の国民栄養調査では、肥満者の割合が男性で24.3%が29.5%へと悪化、女性は横ばい、糖尿病有病者数が1997年が1,370万人、2002年には1,620万人と大幅に増加しています。現在の国民医療費は約32兆円。このうち、糖尿病に1.9兆円、脳血管疾患に2.0兆円、虚血性心疾患に0.8兆円、悪性新生物に2.8兆円、高血圧疾患に2.8兆円など、生活習慣病関連の疾患で計10.2兆円と国民医療費の31.9%になっています。また、死亡原因別調査では生活習慣病関連で死亡する割合は全死亡原因の61.1%となり、他の疾患に比べて高率となっています。
  こうした状況の中で、2005年12月にまとめた政府・与党医療改革協議会による「医療制度改革大綱」では「生活習慣病対策」を大きな柱と掲げ、それを受けて2006年4月の診療報酬改定でも「生活習慣病等の重症化予防に係る評価の見直し」として、ニコチン依存症管理料が盛り込まれました。
  臨床現場でも、多くの医療機関が生活習慣病への取り組みを始めています。特に、慢性期疾患の入院や外来診療の多い民間中小病院やクリニックでは「生活習慣病センター」の開設が普及し始めています。2005年に「メタボリック・シンドローム」という疾患概念が、世界および日本の医学会で統一した見解として発表されたことが臨床現場に大きく影響しているのだと考えられます。メタボリック・シンドロームは動脈硬化性疾患を予防するための疾患概念で、それを臨床分野へ導入する目的は、近年の飽食と車社会における生活習慣を背景に増え続けている糖尿病、高血圧症、高脂血症の予備軍を診断し指導することで、それらの最終結果である動脈硬化性疾患を減らすことにあります。すでにこのメタボリック・シンドローム診断への取り組みが、外来診療や教育入院の形で行われています。
  近年、疾病構造の変化によって、感染症・急性期疾患が減少し、急性期患者は入院、外来ともに地域の特定医療機関に集中する傾向が強く、今後、医療機関にとって増加が見込まれる分野は在宅医療と生活習慣病対策です。生活習慣病の予備群は非常に多く存在しますから、栄養指導、運動指導、喫煙指導など患者の生活行動の個別性に着目した対応策など、これまでの「診察と治療パターン」とは異なるノウハウの学習も必要で、慢性期患者の多い医療機関にとっては新しい選択肢として捉える必要があるのではないでしょうか。

病院における管理会計制度について教えてください。

 病院の財務会計は、監督官庁などの外部団体(厚生労働省、地方行政、税務署、金融機関、病院団体など)に財政状態と経営成績を財務諸表の形で報告する制度です。それに対し、管理会計は、経営者自らの意思決定と統制の必要に応じて、必要な経営情報を内部報告の形で内部関係者に伝達する制度として発展してきました。
 病院会計としての管理会計は、次の要件を備える必要があります。

1)部門別責任会計
 病床を構成する診療科、看護部門、技術部門等の各部門はそれぞれ特殊な構造を持っています。それぞれの特殊性を認めたうえで、管理責任の範囲を定め(たとえば内科と産婦人科の違い、病棟看護部門と外来看護部門の違いなど)、部門別収支と損益の計画と実績について管理と統制を行います。

2)予算管理
 上記部門別責任会計を統合した収支予算、損益予算、資金予算を編成し、経過月ごとの予算・実績差異分析を行い、各部門へ伝達します。

3)原価管理
 各部門の特殊性を勘案したうえでの材料費、人件費の標準設定(医薬品費、診療材料費の標準設定、職員の定員管理など)と一般管理費の割り当ておよび経過月ごとの実績分析を行い、各部門へ伝達します。

4)中・長期利益計画
 新しい事業の可能性に基づき、広い領域での経営計画を立案し、内部の協力と貢献を導き出す中・長期利益計画を作成し、各部門の努力を求めます。

5)投資計画
 一般企業に比べ医療事業は経営基盤がぜい弱ですが、変化と競争の時代を迎えており、ある程度の先行投資も必要です。投資の目的と事業の発展の可能性を各部門によく理解させることによって、投資が各部門の努力の動機づけになります。

近い将来、電子カルテによる診察が当たり前の時代になると思いますが、全ての医師が電子カルテを使いこなすことは困難といわれています。電子カルテの今後の動向と導入する場合の考え方について教えてください。

政府の経済財政諮問会議や規制改革会議が提言している医療IT化の柱の1つが「電子カルテの推進」です。また、2001年に厚生労働省が公表した「保険医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」の中で、電子カルテは2006年度末までに400床以上の病院の6割以上に導入することを目標として掲げています。
 現在の普及率については、公的データとしては、厚生労働省の2005年の医療施設(静態・動態)調査があります。それによると、2005年10月現在で病院が5.2%、診療所が6.3%となっています。前回の2002年調査では、病院が1.2%、診療所が2.6%ですから普及は進んでいるものの、厚生労働省の目標にはまだ遠く届かない状況です。
 電子カルテの普及を阻害する原因としては、「標準化の遅れ」や「多額の導入費用」などが上げられます。標準化については、厚生労働省の電子カルテ標準化推進委員会などで検討が行われていますが、いまだに電子カルテの乗り換えや、異なるメーカーの電子カルテ同士での情報共有は難しいのが現状です。また、費用面についても、診療所で500万円~1,000万円、病院で数千万円~数億円と高額なものとなっています。電子カルテは、それ自身では何も稼ぎ出すことはできませんので、費用対効果が計りにくく、高額な印象を持たれがちです。
 電子カルテを導入するための要件として最も重要なことは、電子カルテの運用に沿った院内のシステムの改革および標準化にあります。具体的には、カルテの記載方法から、オーダーの流れ、会計に至るまで多岐に渡ります。電子カルテの導入に合わせて、現在のシステムの問題点を洗い出し、各部門で標準化を図ることが要求されるのです。電子カルテは院内の業務の効率化を実現する最大のチャンスだと認識し、全スタッフが取り組むことが重要なのです。
 そのためもう1つの鍵は、「院内のコンセンサス」です。電子カルテを導入したものの、使用しているのは若手医師だけで、紙カルテをそのまま使っているようでは、電子カルテ導入の効果は享受できません。また部門間のコンセンサスも大切で、医師部門主導で行うと、看護師部門から反発があったりするケースも見られます。そのためにも、院長号令のもと、各診療科、各部門の現場責任者からなる「電子カルテ推進委員会」を院内に設け、共同で推進していく必要があります。

電子カルテ導入について、成功するためのポイントは何でしょうか

 さまざまな文献を読んで考えることは、日本は、医療情報システムをどうして諸外国(OECD諸国)のように国家プロジェクトとせずに医療機関任せにしているのかという疑問です。電子カルテとは、従来の紙カルテをコンピュータシステムに置き換えることではなく、全ての医療機関の医療情報を全国的に標準化することが大前提だと思うからです。紙カルテを電子保存カルテに変えるだけならば、資金のある医療機関だけがやればよいことになります。電子カルテの本質的な目的は、地域全体あるいは日本全国、さらには国境を越えて全世界に共通する医療情報システムを構築するものだと考えます。
 イギリスのNHSは、まさに模範的な事例として1992年までに国家プロジェクトを完成させています。アメリカを除いてOECD諸国は社会保障を国家プロジェクトとして位置づけ、政府が責任を持つのですが、日本の場合、福祉にしろ、保健・医療にしろ、財政の一部を管理するだけで実際の運用は現場に任せきりという無責任な状況です。
 もし、厚生労働省の医療構造改革計画が単なるアドバルーンではなく、本物であり、構想されている「国立保健医療福祉研究所(仮称)」が医療のIT化とEBMセンターとして稼動するような環境整備を強力に進めるようになれば、日本にも電子カルテが普及・定着するだろうと考えます。
 とはいえ、国の体制が整うには時間がかかり、それを待つ前に、電子カルテの導入が病院の格付けと機能競争の1つの要素となるでしょう。個々の医療機関での導入ポイントとしては、①医師のカルテ記載方法の標準化(この点では病院よりクリニックの方が有利)、②オーダリング等院内情報管理体制についての総合的な基盤整備、③“付け焼き刃”ではなく長期的な医療情報に対するコンセンサスの確立が必要―と考えます。

院内では、さまざまに情報が飛び交っています。口頭、指示伝票、パソコンによる組織内LANなど、情報伝達手段も多岐にわたっています。それら情報の全体像を把握して管理するのに、最も適した部署はどこでしょうか。

 IT化の進展に伴って、情報伝達手段がスピード化し非常に便利になった反面、「情報の即時性」のみがクローズアップされて「情報のマネジメント」がおろそかになっている傾向があります。どの情報が、どれほど重要かという分別がなされないままに多様な情報が氾濫しているのが現在の職場状況です。改めて、情報管理を担当する責任者と責任部署の確認が必要です。特に、情報伝達手段の革新に伴い着信と内容の確認があいまいになっている傾向がありますので、組織内部での指導の権限と管理責任を明確にする必要性があります。
 また、最近は保健・医療・介護の複合体が多くなり、1法人が複数の施設を経営する時代に入っていますから、組織内部の情報を総合的に統括・管理する部署の設定と責任担当者の任務はとても重要になっています。
 医療機関の情報は大別して、①医療情報と②経営情報に分かれますが、情報が発生する部署はさまざまであっても、情報を発信し、保管し、管理する部署は一元化することが責任の所在を明らかにするうえでも大切です。
 例えば、医療情報ソースのほとんどは医事課に所属します。収入や費用等の財務情報ソースは当然財務部(もしくは会計課など)に所属します。過去の文書による情報伝達の時は、それぞれの部署から適時に情報を送信していても事足りましたが、IT化になった現在では、1法人複数施設経営の場合は、本部機構の総務部か企画部が一元管理する方法が望ましいでしょう。1法人1施設の経営形態であれば、事務長が情報管理責任者となって、情報発信と着信と各部署の理解の確認を統率することです。
 発信した情報の内容の確認と理解については、過去の文書情報伝達の時も形式的な確認等でいろいろ問題がありましたが、最近のIT化でさらに「一方通行的」になりがちです。したがって、毎日の朝礼や部署のミーティング、病院運営会議などの組織運営を目的をする会合を頻繁に開催することで、組織内での理解を確認することが必要です。また、着信した情報は各部署で管理職が画面上で確認するだけではなく、1部をプリントアウトして保管し、部署全員に周知することも徹底する必要があります。情報伝達方法が便利になった反面、情報の価値を認識する意識が少なくなったことが問題と感じます。特に患者に関係する情報は慎重に取り扱わねばなりません。
 医療機関における情報管理はインフォメーション機能だけではなく、コミュニケーション機能が重要であることを改めて徹底しなければならないでしょう。

病院の物流管理システムには、中央物流管理として物品管理・搬送システム(SPD)などがありますが、無在庫方式(サプライヤーと一体管理)と大きく違うのはどういった点でしょうか。

 無在庫方式とは、病院内に供給業者の出張場所(資材倉庫)を設け、使用したものだけの代金を支払う方式です。この方式だと病院側に在庫管理の必要がなく合理的に考えられますが、価格交渉がずさんになる可能性や業者と臨床現場の癒着が生じる可能性もあって成功事例は少ないと思われます。
 一方、SPDシステムは、まさに文字通り、モノの供給について、もっとも効率的な品目の調査、選択にあたって臨床現場の指導、発注、検収、出庫、在庫管理、使用と請求の検証までを一元化して専門的に処理できる責任担当者もしくはシステムによる資材供給管理のことですから、無在庫方式とは根本的に違います。
 つまり責任管理の徹底した資材供給システムであるか否かの違いです。

薬剤のSPD(Supply Processing Distribution)システムの運用面では、どのような点に注意すべきでしょうか。

 診療材料や看護用品のSPDならば、院内に業者在庫スペースを設けることができますが、医薬品の場合は薬事法で禁止されていますから、通常の在庫管理方法でSPDを導入することになります。
 従来のように、ある程度の薬価が存在した場合には、薬価差を中心に薬剤選択のコントロールができましたが、薬価差がゼロもしくは少なくなると医師は自分の好みの薬剤をオーダーするようになるでしょう。SPDシステムを管理する担当者は、従来以上に徹底した指導と調整が必要になります。
 また、診療材料や看護用品ならばSPDシステムの管理を業者に委託することも可能ですが、医薬品(試薬を含め)の場合は業者に委託すると医師や薬剤師との癒着を起こしかねず、必ず院内で管理担当者を任命する必要があります。
 SPDは、その言葉の通り物品(この場合、医薬品)を専門的に一元管理供給する院内物流システムです。このシステムを設ける場合、管理担当者の人選が最も重要です。医薬品について専門知識を有しており、しかもメーカーや卸業界の事情にも精通しており、かつ折衝能力があり、医師のわがままも封じる根性を持つ人物でなければSPDの管理はできません。
 医薬品についての専門知識となれば薬剤師が適任ですが、交渉力に長けた人、医師のわがままを封じることについては、薬剤師では不適任と考えます。したがって薬剤師以外のコ・メディカルスタッフ(統計処理能力からいえば検査技師が適任)か、もしくは事務職員を教育訓練して育てることです。

■SPDシステム運営のポイント
①購入する医薬品の選別に当たっては、極力品種を絞り込み、流通コストを押さえるために大包装で購入して多くの診療科の共通使用を図ること。小包装で購入し、頻繁に「急配」をかけるような購入方法をすると、配送料を上乗せされて薬品の購入価格が高くなります。
②月1回必ず薬事委員会を開き、購入する医薬品のPRをし、多くの診療科で使用してもらうことで、不良在庫をつくらないこと。
③医師に的確な医療情報(MRが提供するものとは別種の情報、たとえば薬事専門誌から入手した客観的なDI)を頻繁に提供し、情報面で医師を指導すること。
④購入価格の交渉は卸の本店または支店に自ら出向いて責任者として交渉すること。
⑤価格決定の権限を持たない営業担当とは交渉しないこと。
⑥医薬品の購入、在庫、使用、保険請求を一元的に管理するシステムとして、毎月関係部門にデータを提出し、業務の評価を受けること。
⑦病院長および事務長からの全面的な信頼と支援を受けること。

増患対策の1つとして、健診機能を充実させるのも良いと思いますが、常勤医師でも診られない検査は、非常勤医師を採用してでもすべきでしょうか。それとも、採算の合うものだけに絞った方が良いのでしょうか。たとえば、眼科や婦人科を所有しない病院は、内科系検査のみでも患者は集まるのでしょうか。

 健診事業の内容は多様です。一般住民の健診(行政とタイアップする市民健診、成人病健診、原爆被爆者健診など)、企業健診(入社時健診、定期検診)、ドック健診など。それぞれに意味があり、患者増加への効果を持っています。
 共通していえることは中途半端ではだめだということです。診断能力に長けた常勤医師が責任を持って担当すれば利用者の信頼を得ることができます。非常勤医師を担当にすることは医療機関自体が無責任だという評価を受けるのでしない方が良いでしょう。
 また、責任体制で健診と取り組もうと考えるならば、営業担当(交渉係)を最低1人は育成する必要があります。上手に健診と取り組めば、病診連携以上に患者増加と診療圏拡大を図ることができます。
 検診項目は表23のように主として成人疾患のチェックで、眼科系、婦人科系はオプションです。内科医で十分対応できます。

予防医学への取り組みを最近よく耳にしますが、医療機関が人間ドックの経営を行ううえで、押さえなければならないポイントを教えてください。

 企業が総合健診事業として人間ドックを開業することが流行した時がありましたが、精密検査が必要な状態や疾患が発見された場合の協力病院の有無で撤退するケースが多かったようです。また、病院が人間ドックを有名ホテルの中や都心部のビルに開設することが流行した時代もありました。しかし、そこでも要精検や要治療のフォローが十分にできないという問題がありました。こうしたことを考えますと、人間ドックの運営については次の要件が必要でしょう。
①受検後のフォロー体制を完全なものにする
 人間ドック受検者は患者ではないので一般患者と同じ診療室、検査室で検査をすることは避けるべきです。しかし、検査施設は病院の敷地内か、あるいは病院に近隣した場所に設けて、受検後のフォロー体制を完全なものとする必要があります。
②人間ドック担当医には優秀な医師を
 人間ドック担当医には当該病院内で専門能力の高い優秀な医師を充てる必要があります。
③宿泊ドックの場合、病室ではなくホテルを利用する
 宿泊ドックの場合の部屋は、病室を利用せず、別棟にホテルタイプの施設を用意するか、あるいは有名ホテルと契約して使用することが好ましいでしょう。
④片手間事業ではなく、保健事業として独立した運営を
 受検後の説明書のレイアウト、データ管理、定期的な受検の案内システム、人間ドックのパンフレットなどについては、企業と同じレベルの洗練された技法を用いる必要があります。人間ドックを病院医療の片手間の事業と考えるのではなく、保健事業として独立した運営を行うべきでしょう。